クライアント:一般社団法人 発酵バレーNAGANO
背景
令和6年度の「食文化ストーリー」創出・発信モデル事業では、長野県内9種の伝統的発酵漬物について実態調査を実施しました。令和7年度は、生産量の減少により継続調査が困難となりつつある「赤根大根(清内路蕪)漬け」の追加調査と、他地域にはほとんど見られない独自の製法で作られる「こしょう漬け」を新たな対象に加え、より深い記録・発信活動を展開しました。
支援内容
① 漬物調理実習の企画・運営
長野県立大学の調理室を舞台に、第一線で活躍する2名の食の専門家を講師として招聘し、学生を対象とした実習を実施しました。
- 横山タカ子氏による実習(2025年8月) 「きゅうりの酒粕漬け」「なすの塩漬け」など、伝統的な漬物の製造技法を実践的に学びました。


- 湯本忠仁氏による実習(2025年9月) 焼き味噌や大根味噌漬け入り甘酒、信州サーモンのお造りなど、日本料理における漬物活用の高度な技術を習得しました。


② 現地体験型ワークショップの実施
長野県立大学の学生・卒業生が実際の産地に赴き、地域の伝承者とともに漬物文化を体得しました。
- 清内路赤根大根漬けワークショップ(2025年11月、阿智村清内路・2日間) 信州伝統野菜「清内路あかね蕪」の収穫から塩漬けまでを一貫して体験。在来種とF1品種の食べ比べや、二種類の塩を交互に使う伝統製法の習得を通じ、学生からは「実際に体験しなければわからない技術を身につけられた」「在来種の貴重さを実感した」といった声が寄せられました。

- 信濃町こしょう漬けワークショップ(2025年12月、信濃町) 生活改善グループの地域住民の指導のもと、夏野菜の塩漬けと冬の本漬けという独自の製法を体験。蕎麦すいとんや山もちなど郷土食調理との組み合わせにより、食文化の奥行きを実感する場となりました。


③ 発信事業の展開
- 「発酵バレーNAGANO 2周年フォーラム」(信州大学、来場者約150名)での成果発表
- Instagram(@hakkouvalley_nagano)での取り組み発信
- 公式ホームページへの調査報告・実習記録の掲載
成果
2回のワークショップを通じて、学生たちは製造技術の習得にとどまらず、地域の歴史・風土・人々の暮らしへの深い理解を培いました。また、本事業の成果は「味の文化財」(長野県選択無形民俗文化財)への新規指定に向けた基礎資料としても活用が期待されています。作り手の高齢化が進む中、次世代への継承と対外発信を同時に推進する取り組みとして評価されています。
令和6年度に引き続き、一歩踏み込んだ調査と実践的な教育プログラムを組み合わせた事業支援を行いました。食文化の保護継承と情報発信を両立するこの活動が、地域産業のブランド化と次世代育成に継続的に貢献できるよう、今後も伴走してまいります。
